大人気のコスメブランド、エトヴォスが第三者割当増資を行ったとのニュースがありました。第三者割当増資というのは、資金調達の手法の一つです。
天然鉱物原料を配合して作るミネラルコスメのメーカー「株式会社エトヴォス」(大阪府大阪市、尾川ひふみ代表、設立2007年5月)は、ファッション・レザーグッズ、時計・宝飾、化粧品、酒など60以上のブランドを持つ世界屈指のコングロマリット「モエヘネシー・ルイヴィトン株式会社」(LVMH)系列の投資ファンド会社「Lキャタルトン・アジア」(LCA)が投資(2020年4月)を行い、傘下に入った。
LCAがエトヴォスの第三者割当増資(新たに発行した株式を特定の第三者=法人・個人に引き受けてもらうことで、資金を調達する方法)を引き受けるとともに、尾川ひふみ代表個人が保有する株式の一部を譲受するなどして株式の過半数を取得した。取得額は、非公開。Lキャタルトンが日本の中小化粧品会社「エトヴォス」に投資し買収したのは、初のケース。
2021年1月28日 美容経済新聞「㉞エトヴォス(上)~投資ファンドのLCAが買収し傘下に~」より引用 https://bhn.jp/special/132633
ご自身の美容ベンチャー企業を更に成長させるためにより資金が必要というとき、どうしたらいいでしょうか。
資金調達の方法は、主に以下のような方法があります。
1 第三者からお金を借りる
2 新株発行をする
3 クラウドファンディングをする
4 補助金・助成金をもらう
おそらく、最も馴染みがあるのは、1「第三者からお金を借りる」でしょうか。自分の事業のために、家族や友人からお金を借りたり、金融機関から借入れをしたりしたことのある方はいると思います。メリットとしては、資金調達の方法として分かりやすいこと、デメリットとしては、そもそも借りられるか分からないことと(身近に貸してくれそうな人がいない、金融機関の審査が通らないなど)、借りたお金は返さなければいけないことです。
2「新株発行をする」は、馴染みがない方も多いかもしれませんが、基本的な資金調達方法の一つなので、以下で説明します。メリットは、資金を返さなくていいこと、比較的大きな金額が集められること、デメリットは投資家を集めるのが必ずしも容易でないこと、手続きがやや煩雑であることなどです。
3「クラウドファンディング」は、インターネットの進化に伴い、最近非常に増えています。メリットは、比較的気軽に始められること、デメリットは、集められる金額が大きくないことが多いことなのです。
4「補助金・助成金をもらう」は、事業所のある都道府県や市町村に申請したことのある方は多いと思います。メリットは、分かりやすいこと、資金を返さなくていいこと、デメリットは、要件に合わないともらえないこと、書類準備等の手間がかかること、金額が大きくないことが多いことなどです。
なお、これらはどれが1番いいというものではなく自社のニーズと可能性に合わせて選ぶべきものです。例えば、数千万単位のお金を集める必要がある時には、3、4では不十分で、1又は2にする必要があるかもしれません。会社に一定の信用がなければ、金融機関からの借り入れは難しく1は困難かもしれません。このように、目的は何なのか、その手法の実行可能性があるのかを考慮して、どの手法を選択するかを決めます。
今回エトヴォスが行った「第三者割当増資」とは、上記2の新株発行の一種です。エトヴォスが自社の株式を新たに発行し、これをLCAに引き受けてもらいました。株式の引き受けというのは法律上の言い方で、分かりにくいかもしれませんが、要するに、株式を買ってもらうようなイメージです。LCAは株式を引き受ける際に、株式の対価を会社に支払いますので、これにより、エトヴォスは資金調達ができます。
最後に、第三者割当増資の手続きですが、通常は、会社と第三者の間で投資契約や株主間契約を締結します。また、第三者割当増資の際には登記をする必要があります。私も、美容系の会社で第三者割当増資を行うお手伝いをすることがありますが、このあたりの契約を作成し、内容をご説明しています。
新株発行は、重要な資金調達の手法の一つで、美容業界でも頻繁に用いられていますので、少しでも馴染みをもっていただけるとよいと思います。
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