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執筆者の写真Yuko NITTA

ブックレビュー「雰囲気からして美人 渡邉季穂」




本書は、全国的に有名な美容室である「UKA」を運営する株式会社ウカ代表取締役会長の渡邉季穂さんの本です。著者は執筆時点で経験27年のネイリストであり、本の約半分くらいがネイルの話となっています。美容に関する本は色々ありますが、ここまでネイルに重きを置いた本はないのではないでしょうか。ネイリストという仕事を通して美に向き合ってきた経験から紡ぎ出されるアドバイスは、非常に納得感のあるものです。


著者の主張は、美人に見えるためには、雰囲気が美人であればよく、その雰囲気とは、きれいな末端に宿るというものです。そして、前半で、末端の代表格であるネイルについて、ネイルの色の選び方から手のお手入れの仕方まで丁寧にアドバイスされています。後半は、髪、服、心の持ちようなどについて、雰囲気美人への道が指南されています。


たくさんよいアドバイスが提供されているのですが、例えば、ネイルは、キャラクターと、肌色と、ファッションの比重を調整しながら選びましょうという話は特に納得しました。元気は人はイエローやオレンジ、清楚な人はベージュなど、自分のキャラクターに合った色を選ぶことは重要で、これに加えて、肌色と服装とのバランスを考えるとよいとのことです。これはすなわち、何色がいいかを理解するためには、自分がどういうキャラクターなのか、どういうキャラクターになりたいのかを理解する必要があるということです。美容は時に表面的なものだととらえられてしまうことがありますが、実際は、自分の内面を表現する手法の重要な一つであり、この本もそのような思想をベースにしているものと思います。


関連して、先日、いつもお願いしているネイリストさんが教えてくれたのですが、彼女の経験上、コロナ禍におけるネイルの注文傾向は大きく2つに分かれるということでした。一つは、自粛する気持ちに合致するベージュなどの落ち着いたカラーを選ぶ人、もう一つは、せめて気分だけでも明るくしたいということで赤やピンクなどの華やかなカラーを選ぶ人、だそうです。これは非常によくわかると思いました。ネイルは最も自分の目につく美容であることもあり、自分の気持ちの置き所がよく表れるのだと思います。


本書は、ネイル好きの方はもちろん、年齢を超えた普遍的な美しさを求める方にお勧めできる良書です。

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